「物欲なき世界」を読んだ
きょうは本の話。
先日、菅付雅信の「物欲なき世界」(平凡社)を読んだ。
よく流通・小売の世界では、モノではなく「コト消費へ」なんて言っているけど、それはたんなる消費のトレンドなのではなく、これからの経済状況に裏付けられた、未来への兆候なのだと思う。
「ノームコア」も「ミニマリズム」も、これから起こる大きな潮流の一つだと考えれば、自分では納得がいく。
「借金の時代はモノが主役だったが、貯蓄の時代となったいま、世の中を動かすのは意味である。私たちは物質主義を捨てて、実のあるものを重んじる姿勢を強めている。何を持っているかよりも、私たち自身に何が備わっているかが大切になってきているのだ」。
近年の傾向である「ライフスタイル重視」や、自分を成長させる習い事や旅などへの消費の高まりをみると、確かにそれはうなづける。
モノをもつことにこだわりを持たない人々の価値観は、ますます「シェア」や「つながり(コミュニティ)」へ。これからは、そんなに多くのお金を持たなくても、暮らしていきやすい世の中になっていくのだろう。(そもそも、多くのお金を持ち得る経済環境ではなくなるので、その状況下の中で欲望がシフトしていっただけかもしれないが…)
では、これからの人々はどんな生き方を選んでいくのだろうか。
興味深い一文が載っていた。
「幸福は、より個人的で、かつ普遍的な価値を共有出来るものに向かう。」
「他社とも価値観を共有出来る『いい物語をもった人生』が最大の幸福になるだろう。」
人間、見た目より中身。お金より幸せが大事。
なんとなく、フーテンの寅さんあたりが言いそうな台詞だけど、虚勢でも見栄でもなく、それが一番大切になる時代がもうそこまで来ているのかもしれない。
そんなこれからの時代に向けて、私が注目している言葉は「信頼」。
つぎは、次のキーワードになる(であろう)「信頼」についてもう少し丁寧に書きたいと思う。